「緊迫する南シナ海情勢 ベトナム、フィリピン、そして日本」11月5日 拓殖大学文京キャンパスにて研究講演会開催

「緊迫する南シナ海情勢 ベトナム、フィリピン、そして日本」

11月5日 拓殖大学文京キャンパスにて研究講演会開催

南シナ海問題を考える会事務局

 11月5日、午後2時より、拓殖大学文京キャンパス C101教室にて「緊迫する南シナ海情勢 ベトナム・フィリピン そして日本」と題された研究講演会が開催されます。ご存知のように、2016年7月12日、国連海洋法条約に基づくハーグ仲裁裁判所は、フィリピン政府が訴えた南シナ海問題に関し、中国が主張してきた内容を全面的に否定する判決を下しました。

 中国の南シナ海における侵略行為は、1950年代にパラセル(西沙)諸島に部隊を派遣してその野望を明らかにした時点で始まっていますが、ベトナム戦争が北ベトナムの勝利で終わる直前の1974年、すでに力を失っていた当時の南ベトナム軍を撃退して、諸島全域を支配したいます。さらに80年代にはスプラトリー(南沙)諸島の一部も占拠。フィリピンが領有権を主張するミスチーフ礁にて、95年には中国軍が事実上の基地建設に入りました。そして、近年のあからさまな人口島建設、ミサイル基地の設置などでこの両諸島に中国が明確に南シナ海の軍事的覇権を確立しようとしていることは、様々な報道により明らかなことです。

この覇権主義と侵略、力による支配に対し、今回のハーグ仲裁裁判所は明確に違法なものとみなしました。今回の判決によれば、中国が主権を主張する独自の境界線「九段線」に国際法上の根拠は全くないこと、現在中国が強引に作り上げた海上人口島も、「島」としては認められないことを宣言。原告であるフィリピン政府の「中国が人工島を造成したミスチーフ礁などは満潮時に水没する『低潮高地』(暗礁)であり、領海を設定できない」との主張を全面的に認めています。

 さらに、スカボロー礁やジョンソン礁などは「岩」であると認定し、沿岸国が漁業や資源開発などの権利を持つ排他的経済水域(EEZ)を設けることへできず、特にスカボロー礁周辺の海域は中国、フィリピン、ベトナムいずれの国々にとっても伝統的な漁場であり、中国がフィリピン漁船にたびたび妨害を加えていたことも国際法違反だとしています。

 国際社会が、テロと報復攻撃の混迷状態にある中、今回の判決は、紛争や対立をあくまで中立な国際機関が裁定し、大国の横暴を許すことなく、法治の原則のもとに正義と秩序を確立しようという精神を世界に提起した画期的なものといえるでしょう。

 しかし、中国政府は、この判決を「紙くず」と言い捨てて全く受け入れようとしませんでした。習近平国家主席は公然と、「これらの島々は古来より中国の領土であり、中国政府は今回の判断に基づくいかなる行動も受け入れない」と述べています。現在に至るまで、中国政府は南シナ海における覇権主義的野望を改めないばかりか、さらに強硬な態度を取り続けております。

 これは、日本にとっても決して無縁な問題ではありません。中国政府は日本固有の領土である尖閣列島に対し、今年8月5日午後1時30 分頃、中国漁船に続いて、中国公船(中国政府に所属する船舶)1隻が尖閣諸島周辺領海に侵入したのに続き、8月6日、230隻にも上る大量の中国の漁船が、尖閣諸島の接続水域に進入し、併せて、7隻の海警局(中国コーストガード、日本で言う海上保安庁)の巡視船が同水域に進入しています。同7日、漁船の数は250隻に増加し、さらに、新たに2隻の中国法執行機関の船が尖閣諸島の接続水域に進入した。漁船は、尖閣諸島周辺の領海侵犯をも行っています。

さらにこの10月には、中国が東シナ海の日中中間線付近で開発を進めるガス田のうち、新たに2基で生産活動の兆候を示す炎が出ていることが日本政府により確認され、外務省の金杉憲治アジア大洋州局長は「一方的な開発を進めることは極めて遺憾だ」として中国政府に抗議しました。外務省のホームページには、ガス田開発の様子を撮影した写真が公開されています。日中中間線付近には16基のガス田構造物があり、炎が確認されたのは今回の「第11基」と「第12基」を加えると計12基となりました。

 このような違法行為を許していては、中国は東シナ海及び南シナ海に覇権を確立し、それによって、台湾は独立の機会を失い、海洋法はその権威を失うことによって、法よりも力の支配が正当化されてしまうでしょう。それは、日本のシーレーンが完全に中国に握られることにつながり、尖閣列島のみならず、日本国そのものの自立も安全も脅かされることになります。そのような事態を打開し、東アジアにおける平和と秩序、そして法治の原則を確立するためには、私たち日本国は、中国の暴虐な覇権主義に対し、東南アジア諸国、諸国民と連帯しなければならないはずです。

南シナ海問題を考える会(代表 宮崎正弘)は、11月5日のシンポジウムにおいて、産経新聞特別記者 論説委員 湯浅博氏、ベトナム外務省顧問局長、ティン・ホァン・タング氏、そしてフィリピン国会議員ハリー・ロケ氏らを講師にお招きし、この南シナ海の現状をそれぞれの立場から解説するとともに、日本、ベトナム、フィリピンが、今何をなすべきかを考える研究講演会を開催いたします。ぜひ、皆様のご参加をよろしくお願いいたします。(ホームページ 南シナ海問題を考える会 http://minamishina.sakura.ne.jp/)